「田中高原」(タンナカ高原・1340m)に登る 平成15年7月13日:日曜日/曇り時々小雨




岐阜の秘境で自然が満喫できる「田中高原」に7月13日に登りました。
富山駅北口7時30分、袋谷さんと待ち合わせる。笹津第二駐車場で全員集合。岐阜県数河「ドライブイン数河」で各車に分譲して遊歩道入り口に向かう。

9時45分登山開始。
この山林は富山市の歯科医師:森井 徹雄氏の持ち山で、平成12年の秋、一般に開放された。それまでは人もあまり踏み入れない落葉樹の宝庫の秘境であった。それを富山大学・高山短期大学の学生達と下草刈りや丸太橋を自ら架け、自然保護をしながら1340mの頂上まで道をつけたということである。白神山地に次ぐブナ林で有名だ。

多くの動植物に逢えることを期待しながらザックを背負う。 なだらかな道を歩み進めて水門広場に到着。 ここでウォーキングと登山のグループに別れる予定でしたが、全員登山のコースを選択。 7月半ばだというのに至る所に蕨・よしなが生えている。6月の山菜採りの楽しみも充分に満足させてくれるに違いない。 道も緩やかな勾配で川のせせらぎを聞きながら足を運ぶ。左側は杉林であり右側はブナ林である。他にシラカバ・カラマツ・トチ・ミズナラの木が生えている。 森林浴を楽しみながらサポーターの「K」さんと話がはずむ。登山道の横でサルの糞を発見。熊も出没するそうだ。右前方下の方から「カジカ蛙」の声が快く耳に飛び込んで来る。自然の豊かさに心身委ね、快適な気分を味わう。
上前方からカメラを持った人に出会う。この山林の持ち主の森井さんであった。 今日は下草刈り・架け損じている丸太橋の修理に来たそうである。しばしの間、歩を共にする。 「タンナカ」はアイヌ語であるそうだ。意味はあまりよく解からないとのこと。 近くに「ニコイ」というアイヌ語の地名「水芭蕉」で有名な場所もあるそうだ。 岐阜県にアイヌ語の地名が残っているのは、アイヌの人たちが北海道に移動する前にここに住居を構えていたのであろうか。豊かな自然と神々の関連が頭をよぎった。 森井さんの持ち山は70万坪ほどの広さで、土木業者を入れずに自然を守り山道を開いたそうだ。年間200万円ほどの維持費がかかるとのこと。本当にありがたいことだ。深く感謝して別れを告げて頂上へと向かった。
横道には夏椿(シャラの木)と山法師(ヤマボウシ:花水木に似た日本原産の花木)が白いつぼみをつけている。つぼみにそっと手で触れてみ る。夏椿は花が咲くと、一夜で散ってしまうそうだ。煙雨の中で人知れず咲き散っていく白い花、年甲斐もなく少しセンチメンタルな気分になった。 頂上近くはかなり強い勾配が続く。ダケカンバ・ナナカマドの木も見受けられる。

息をはずませながら、12時10分頂上到着。
あいにく霧がかかったような状態で、周りの展望は全く見ることができないが、やはり開けた頂上で皆さんとの食事は楽しい。話がはずむ。全員で写真撮影して、天候も気になり下山。 途中、山百合の匂いにしばし歩を留める。姥百合が拳大の白いつぼみをつけている。黄色の釣舟草・あざみ・アジサイ等が小雨にぬれて色を一層鮮やかにして咲いている。 一年の中でも一番変化に富み、一週間で変容する梅雨の時期の山は私は好きだ。 本当に豊かな自然を味わう事ができる。
素晴らしい湧き水があるとのことで少し横道に入ったここは水源涵養保安林、県立自然公園に指定されているほどで、水質は豊かで良い。まだ名も付いていない水飲み場「水質の成分が表示」で、まろやかな水を心ゆくまで楽しんだ。五臓六腑にに命の根本エネルギーを与えてもらった気がして、身体が洗い清められたようなすがすがしい気分になる。
雨も少し強くなってきたが、全員3時45分無事下山。 天候が良ければ黒部五郎・槍・笠・穂高・乗鞍・御岳・白山も見えるそうだ。 秋には再度訪問することを山に約束して帰路についた。素晴らしい山行であった。

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