8月8日「木曜日」

今日も5時に起床

天気が良いので日の出を見ることが出来る。そう思って日の出を見に、外へ出た。

「五郎平小屋」は回りの山々に囲まれているせいか、空が完全に白んだ後で日が昇ってくる。

空が完全に明るくなって太陽が顔を出し始めた。と同時に太陽の温かみが全身に伝わってくる。明るい空に雲を少し赤く染めて太陽が昇るにつれて暖かくなる。

こんな日の出を見たのもはじめてである。今度機会があれば、「薬師岳」の頂上から日の出と日の入りを見たいものだ。

今日は折立までゆっくりと下山すれば良い。登山客は殆ど小屋から目的地に向かって出発してしまった。6時30分からのラジオ体操を小屋の従業員の人と共にしてザックを背に出発した。

三角点まで快調に歩を進める。いろいろと雑談しながら歩いているうちに三角点に着いた。「8時20分」到着。

 

剣岳を代表に大日岳、弥陀ヶ原など、多くの山がくっきりと見えるらしい。他の休憩している人も仕切にカメラのシャッターを切っている。こんなによく見える日は珍しい事だと登山歴の豊富な人が話している。20分ほど休憩を取り出発する。

三角点から折立つまでは急な坂が続く。私たち視覚障害者は、下りの足元が不安である。登りより、はるかに不安感を持ってしまう。大きい段差はロープを放し、尻をついて下りる。折立から登ってきた人たちに道を譲る。これが私にとっては手ごろの休憩になっている。のぼりの人たちの息遣いは荒い。何人かが三角点はまだ遠いですかの質問を受ける。やはりここはかなりの体力を要するところだ。三角点を過ぎれば、後はきれいな高山植物の高原です。と励ましながら、私たちも息遣いを荒くして下った。三分の2ほど下ったとき30歳ほどの女性グループ4人に会った。かなり疲労しているようだ。道を明けると足取りも重く大儀そうである。その中の独りが私の視覚障害に気づいたらしい。驚嘆して、手を差し伸べて「私にエネルギーをください。」と声をかけてきた。他の3人も先を争うように私の手をしっかりと握る。4人の若い女性からこんなにも力をこめて手を握られるとは。

「エネルギーを、どうも有難う」と言って先ほどよりは足取りもしっかりとして登って行く。。若い女性から心をこめて手を握ってもらい、お礼まで言われるとは、視覚障害も悪くはない。そんなことを思いながら私もエネルギーを補給してもらったような気になり足取りも軽く、折立に向かった。

11時に折立に到着。

折立で、静岡から縦走してきた女性二人から(薬師岳)登山の無事終了の祝福を受ける。

彼女たちは昨日「薬師山荘」で昼食をしていた私たちを見ていたらしい。

別れを告げ、あり峰口の「白樺ハイツ」で、600円を払い温泉に入り昼食をとり気分も爽やかに高岡へ向かう  。14時高岡着。

思い出の多い「薬師岳」登山であった。

 

 



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